ファイルのサイズを小さくする


 最近では、パソコンの処理速度の向上、デジタルカメラの画素数の増大などの要因によって、良質な(しかし巨大な)画像データを手軽に扱うことができるようになってきました。ところが一方で、ハードディスクや各種記録メディアの容量増大・低価格化をいいことに、文書ファイルやプレゼンテーションファイルのサイズを気にせずに、不必要に巨大なファイルを作製してしまう人が多く見られます。これは印刷に膨大な時間を要したりデータ保存のための資源の無駄遣いであるばかりでなく、作成者の感性・美意識の低さをさらけ出すものではないでしょうか。高い品質を保持しながらサイズが小さく「粋」なファイルを作るように心がけたいものです。要点はただひとつ、画像を直接貼り付けずに、必ず「形式を選択して貼り付け」を行うということです。

パワーポイントのファイル

 プレゼンテーションファイルの場合には特にサイズを小さくすることが重要です。巨大すぎるためにプレゼンテーションの立ち上げに時間がかかって聴衆をいらいらさせる光景をよく目にします。また、特に大勢の講演者が1台のパソコンを使う研究発表会などでは、データの転送・コピーにも時間がかかり、短い休息時間に準備しなければならない場合などに他の講演者に迷惑をかけてしまいます。
 こちらのパワーポイントの事例をご覧下さい。【写真をそのまま貼り付け.ppt】にはたった1枚の写真しかありませんが、ファイルのサイズが15MB以上にもなっています。このような作り方をしていては、プレゼンテーションファイルのサイズはあっという間に数百MBになってしまいます。一方、【写真をそのまま貼り付け.ppt】の写真をいったん「切り取り」(Ctrl+X)し、「形式を選択して貼り付け」→「図(JPEG)」で元通りに貼り付け直したものが【写真をjpgで貼り付け.ppt】です。サイズは100分の1以下になりました。もちろん、画質は若干低下していますが、プロジェクターで投影したときには全く認知できない程度の違いです。
 どうしても画質の低下が気になる場合には、「ビットマップ」として貼りましょう。ただし、この場合には元の画像データのサイズが必要以上に巨大でないように気を配る必要があります。【写真をビットマップで張り付け.ppt】と【写真を50%縮小してからビットマップで張り付け.ppt】の画質とファイルサイズを比較してください。プロジェクタの画素数以上のビットマップデータを貼り付けても意味がありません。
 Excelやその他の作図ソフトで作製した図面などのベクトルデータは「ピクチャ(拡張メタファイル)」として貼り付けましょう。パワーポイントの事例の【図面をそのまま貼り付け.ppt】と【図面をピクチャで貼り付け.ppt】の画面を拡大して調べればわかるように画質は全く同等であるにも関わらず、ファイルのサイズには36倍の格差があります。

まとめ
  • ラスタデータ(写真など)は「図(JPEG)」として貼り直す。
  • JPEGで画質の低下が気になる場合には「ビットマップ」として貼るが、必要以上に大きなデータを貼らないように事前に画像の解像度を調整する。
  • ベクトルデータ(フォントを含むデータなど)は「ピクチャ(拡張メタファイル)」として貼る。

    MS-Wordのファイル

     こちらのWordの事例をご覧下さい。さきほどと同じように【写真をそのまま張り付け.doc】を「図(JPEG)」で貼り付け直したものが【写真をjpgで張り付け.doc】です。ファイルサイズはなんと200分の1以下になりました。しかし、パワーポイントの場合に比べて画質の低下が顕著です。JPEG化処理の画質を調整できればいいのですが、それはできないようです(注)。そうはいっても、この事例ではページ幅いっぱいの大きな画像なので気になりますが、ページ幅半分程度のものであれば全く支障ありません。
     JPEGで画質の低下が気になる場合には、「図」として貼り付けましょう。この場合も元の画像データのサイズに気を配る必要があります。【写真を図で張り付け.doc】と【写真を50%縮小してから図で張り付け.doc】の画質とファイルサイズを比較してください。
     ベクトルデータは「図(拡張メタファイル)」として貼り付けます。【図面をそのまま張り付け.doc】と【図面を図で張り付け.doc】を比較してください。ファイルのサイズには約50倍もの格差があります。元のデータが小さいときには2倍程度の格差しかないこともありますが、画質は全く同じなのですから「図(拡張メタファイル)」で貼り付ける方が絶対にスマートです。

    まとめ
  • ラスタデータ(写真など)は「図(JPEG)」として貼り直す。
  • JPEGで画質の低下が気になる場合には「図」として貼るが、必要以上に大きなデータを貼らないように事前に画像の解像度を調整する。
  • ベクトルデータは「図(拡張メタファイル)」として貼る。

    スキャン画像を貼り込む場合

     まず適切な解像度・階調でスキャンを行い、その後でコンパクトに貼り込むことがポイントです。写真など高階調の画像は比較的低解像度・高階調でスキャンして「図(JPEG)」として貼り付けます。一方、グラフ・図面・文字などグラデーションのない低階調の画像高解像度・低階調でスキャンして「ピクチャ」や「図」(拡張メタファイル)として貼り込むのが基本です。
     たとえば、白黒のグラフや図面の場合には白黒1ビットでスキャンします。階調のあるグレースケールでスキャンすると白地の抜けが悪くて陰ができたり黒地がかすれたりするばかりでなく、白と黒の境界がぼやけて見苦しいものとなります。グレースケールでスキャンするよりも、解像度を上げて白黒1ビットとしたほうが同じデータサイズでも断然良好な結果が得られます。まして白黒図面をカラースキャンするのは論外です。スキャン画像を保存しておくときには、画質を低下させないようにビットマップやtifなどの可逆データとして保存します。
     低階調の図面をワードやパワーポイントに貼り付けるときには「ピクチャ」や「図」(拡張メタファイル)として貼り込みます。スキャン画像はラスターデータですが、低階調の画像をJPEGで貼ると画質が目立って低下するばかりでなく、特に白黒画像ではファイルサイズもかえって大きくなってしまいます。これは、ワードやパワーポイントでは白黒・カラーの判別がされずにすべてカラー階調のJPEG化処理が行われるためだと思われます。
     例として、Wordの事例の中の【スキャン白黒図面を図で張り付け.doc】をご覧下さい。これは、12cm×10cm程度の原図を600dpiでスキャンしたものですが、画質・ファイルサイズともに良好であるといえましょう。解像度600dpiは通常のコピーと同等の画質ですから、網掛けなども適正に表現できます。スキャンの解像度が低いと網掛けが黒くつぶれたり妙な干渉縞が出たりすることがあります。なお、この事例の画像は若干傾いてしまっていますが、縦横の直線が多い図面をスキャンするときには傾かないようにすることも美しい画像を得るために重要なポイントです。

    まとめ
  • 適切な解像度・階調で画像のスキャン・保存を行う。
  • 白黒図面・グラフ・文字画像をスキャンするときには、階調なし(1bit)として、そのぶん解像度を上げる。
  • 写真画像はJPEGで、図面・グラフ・文字画像は「ピクチャ」や「図」(拡張メタファイル)で貼る。
  • 傾かないようにスキャンする。

    その他

     ワードやパワーポイントで編集を繰り返しているとファイルのサイズが無意味に増大します。ファイルが仕上がったら「別名で保存」してみましょう。サイズをかなり節約できることがあります。

    1. 画像をJPEG形式で貼り直すときの画質の調整についてですが、切り貼りするときの画面上での表示サイズによってある程度の調整が可能なようです。たとえば、ワードで画像をJPEG形式で貼り直すとき、「表示(V)」→「ズーム(Z)」で画面の表示倍率を200%とか500%などに拡大した状態で切り貼り作業を行うと画質が向上します。
       すみません、上記の取消線の部分の記述は正しくないようです。少なくとも、そのようにならない場合が多いようです。JPEGで貼り込むときの画質の調整方法を御存知の方はいらっしゃいますでしょうか。

    2. 画像をJPEG形式で貼り直すと、画像のまわりに黒い枠が生じてしまうことがあります(上記の【写真をjpgで張り付け.doc】にも下辺と右辺に生じています)。その場合には「図ツールバー」の中のトリミングツールで黒枠を除去します。

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